公開日: 2025年12月24日(水)

【冒頭】 クリスマスイブに贈る、固定費削減のプレゼント
こんにちは。「すべてのパソコンをただの『窓』にせよ!」プロジェクト主宰の田上です。 今日はクリスマスイブですね。街は賑わっていますが、私たちは冷静に、会社の「無駄な出費」を断捨離していきましょう。
パソコンを買うとき、量販店の店員さんに必ず言われる言葉があります。 「一緒にウイルス対策ソフトもいかがですか? 今なら3年版がお得ですよ」
そして多くの人が、言われるがままに数千円〜数万円を払い、毎年更新料を払い続けています。 今日は、業界のタブーに触れます。 「その有料ウイルスソフト、令和の今も本当に必要ですか?」
結論から言えば、私たちが目指す「パソコンを窓にする(クラウド中心のワークスタイル)」において、従来型の有料アンチウイルスソフトは、もはや必須ではありません。
理由1:Windows標準の「Defender」が大変高性能になった
かつて、Windows XPや7の頃は、標準搭載のセキュリティ機能はおまけ程度の性能で、確かに頼りなかった。だから、ノートンやウイルスバスターなどを別途購入して守るのが常識でした。
しかし、現在は状況が全く異なります。 現在のWindows 10/11に標準搭載されている「Microsoft Defender」は、大変高性能になり、世界トップクラスの検知能力を持っています。
- 性能: 有料ソフトと遜色ない(あるいはそれ以上の)防御力。
- 軽さ: OSの一部として動くため、動作が重くならない。
- コスト: 0円(OS代に含まれる)。
今、あえてDefenderと同種の有料ソフトを入れる必要性は薄れています。お金を払ってパソコンを重くするのは、もうやめませんか?
理由2:Googleが「水際」で止めている
もう一つの理由は、私たちの働き方が変わったからです。 かつては、ウイルスは「USBメモリ」や「怪しいフリーソフト」から入ってきました。しかし現在、多くの脅威は「メール」や「ダウンロードファイル」から来ます。
ここで、Google Workspaceの出番です。 Googleは、あなたのパソコンにメールが届く前に、クラウド上の巨大なサーバーでウイルスチェックを行っています。
- 誰かがウイルス付きメールを送る。
- Googleのサーバーが検知し、即座にブロックする(受信トレイにすら届かない)。
つまり、あなたのパソコン(窓)に届く前に、Googleという「巨大な防波堤」がすでにウイルスの99%を濾過してくれているのです。
【重要】予算があるなら、同じ「盾」より「監視カメラ(EDR)」を
ここで、非常に重要な補足をします。 「Defenderで十分」と言いましたが、セキュリティに「100%」はありません。どんなに高性能なソフトも、登場したばかりの未知のウイルス(ゼロデイ攻撃)はすり抜ける可能性があります。
もし、あなたの会社に「セキュリティ対策の予算」がまだあるなら、それをDefenderと同じ役割の有料ソフトに使うのは少しもったいないかもしれません。
今、賢い企業が選んでいるのは、「EDR(イーディーアール:エンドポイントでの検知と対応)」という新しい仕組みです。
これは「侵入されることを前提」としたシステムです。 万が一、ウイルスがDefenderをすり抜けて侵入したとしても、その後の「怪しい振る舞い(例:勝手にファイルを暗号化し始めた)」を検知して、即座にストップさせます。
- 従来の有料ソフト: 頑丈な玄関の鍵をもう一つ追加する(ピッキングされたら終わり)
- EDR: 館内に高性能な監視カメラと警備システムを導入する(侵入されても捕まえる)
同じ費用をかけるなら、「最後の砦」となるEDRに投資する方が、防御力は何倍も高まります。これは、現代のセキュリティにおいて非常に賢明な投資判断です。
結論:基本は無料構成。予算があるなら「賢い投資」を
まとめましょう。一般的な中小企業の事務作業においては、まずこの無料構成を目指してください。
【基本の無料構成】
- 壁1:Google Workspace(入り口でブロック)
- 壁2:Microsoft Defender(OS標準でブロック)
そして、もし既存の有料ソフトの更新予算が余っているなら、同じようなウイルススキャンソフトを重ねて入れるのではなく、次のステップへ進むことを強くお勧めします。
【ウィルススキャナの導入より、こちらの方がお勧め】
- Acronis Cyber Protect Cloud EDR (万一感染して、ランサムウェアがファイルの暗号化を始めても、その挙動を検知してブロックします。最後の砦となります。)
もし、あなたのパソコンの右下に「有効期限が切れそうです! 更新してください!」というポップアップが出ているなら、それはサンタクロースからのメッセージではありません。ただの「集金通知」です。
それをアンインストールすれば、自動的に高性能なWindows Defenderが立ち上がりパソコンを守ってくれます。これで、年間数千円〜数万円のコストカット完了です。浮いたお金で、今夜は美味しいチキンでも買ってください。
次回は、社員が辞める時のリスク管理。「退職者が出ても、ボタン一つで会社を守る方法」についてお話しします。
FAQ:ウイルス対策ソフトとセキュリティに関するよくある質問
Q1. 「無料」のWindows Defenderで本当に大丈夫なのですか? 安かろう悪かろうではありませんか? A1. ご安心ください。現在の性能は有料ソフトと遜色ありません。 かつては性能が低かった時代もありましたが、Microsoftが近年セキュリティに莫大な投資を行った結果、現在のDefenderは第三者機関のテストでも満点に近い評価を連発しています。「無料だから性能が低い」のではなく、「OSの標準機能だから追加費用がかからない」とご理解ください。一般的なオフィス業務であれば十分な防御力です。
Q2. Macを使っているのですが、Macにもウイルスソフトは不要ですか? A2. はい、基本的には不要です(Macにも標準の防御機能があります)。 「Macはウイルスに感染しない」というのは迷信ですが、macOSにもWindows Defenderと同様に強力な標準セキュリティ機能(XProtect、Gatekeeperなど)が備わっています。また、「データを端末に残さない(窓化)」という最大の防御策はMacでも有効です。Windows同様、追加で有料ソフトを入れる必要性は低いです。
Q3. 今入っている有料ソフトの期限が切れたら、どうすればいいですか? A3. 更新せずに、「アンインストール(削除)」してください。 更新料を払う必要はありません。Windowsの「設定」→「アプリ」から、期限切れの有料ソフトをアンインストールしてください。そうすると、裏で待機していたWindows Defenderが自動的に有効になり、切れ目なくパソコンを守り始めます。難しい設定は不要です。
Q4. 記事にあった「EDR(Acronisなど)」は、普通のウイルスソフトと何が違うのですか? A4. 「侵入を防ぐ鍵」か、「侵入後の監視カメラ」かの違いです。 普通のウイルスソフト(Defender含む)は、玄関の鍵のように「侵入を防ぐ」のが仕事です。一方、EDRは「万が一鍵を破って侵入された後」に活躍します。「ファイルを勝手に暗号化し始めた(ランサムウェア)」のような、ウイルス特有の怪しい「動き(振る舞い)」を検知して、その場で取り押さえるシステムです。予算をかけるなら、鍵を二重にするより、監視カメラ(EDR)を導入する方が賢明です。
Q5. 心配なので、有料ソフトとWindows Defenderを両方同時に動かしてもいいですか? A5. いいえ、それはお勧めしません。 同じ役割を持つセキュリティソフトを複数同時に動かすと、互いに競合してパソコンの動作が極端に遅くなったり、不具合の原因になったりします。基本は「Defender一本」で、強化したい場合は「役割の違うEDRを追加する」のが正しい構成です。

監修・執筆:田上恭由(たがみやすゆき)
株式会社ワイコム・パブリッシングシステムズ 代表取締役 上級ウェブ解析士
Google Cloud Partner Advantage 認定代理店。
西南学院大学経済学部卒。記者を経て中古車情報誌編集部で、世界初となるデジカメ画像利用の誌面完全自動制作システムを開発。平成8年に創業し、同システムは情報誌「カッチャオ」の成長を支えた。現在はウェブ集客支援へ移行し、構築700サイト・運営支援130社超の実績を持つ。近年は生成AIによる業務改革支援や研修開発に注力。中小・小規模企業のセキュリティを高めるためのGoogle Workspaceの導入支援にも力を入れている。講演・セミナー実績多数。「チームがみポンランニングクラブ」会長。







