2025.09.23
少し、私の個人的な話をさせてください。私のパソコン歴は36年になります。WindowsやMacが普及する遥か以前、黒い画面に白い文字だけが映るMS-DOSの時代から、私はキーボードを叩いてきました。それは単なる趣味ではなく、「社内の業務をいかに効率化し、高速に処理するか」という一点を追求し、様々なツールを試行錯誤してきた36年間でした。
その長い経験を通じて、私が痛感していることがあります。それは、日本のソフトウェアやITソリューションは、海外製に比べて価格が異常に高いという、覆しがたい事実です。
例えば会計ソフト一つとっても、海外には高機能なオープンソース(無償でソースコードが公開されているソフトウェア)のものがいくつも存在します。セキュリティ関連も同様で、日本のメーカー品は月額数万~数十万円が当たり前ですが、私たちが代理店となったWordfenceやAcronis、あるいはGoogle Workspaceといった海外製ツールは、月額わずか千数百円程度から利用でき、中小企業でも容易に導入できます。
なぜ、これほどの価格差が生まれるのでしょうか。その根底には、日本のIT業界が長年抱え込んできた、根深い構造的な問題があると私は考えています。
日本のITを蝕む「ベンダー依存」という病
欧米の先進的な企業では、自社に技術者を抱え、その技術者が現場の課題に合わせて社内システムを開発・改善するのが一般的です。彼らは世界中のオープンソースのコミュニティに積極的に参加し、最新技術を吸収しながら、低コストで自社に最適なシステムをスピーディに構築します。
一方で、日本の企業は、システム開発をNTTデータやIBM、NECといった外部の巨大ベンダーに「外注(丸投げ)」するのがほぼ100%です。その結果、社内のIT担当者は技術者ではなく、ベンダーの進捗を管理する「管理者」となり、現場のリアルな課題から遊離していきます。何か新しい機能を追加しようとすれば、仕様決め、見積もり、稟議、発注…と、膨大な時間と費用がかかる。この**「ベンダー依存」こそが、日本のIT分野が世界で全く歯が立たない、根本的な原因**ではないでしょうか。
過去の成功体験が示す「内製化」の圧倒的な力
実は私自身、今から30年も前に、この「ベンダー依存」を自らの手で回避し、システムの完全な内製化によって、会社を倒産の危機から救い、飛躍的な発展を遂げさせた経験があります。
当時、私は福岡市に本社を置く、社員20名ほどの九州版中古車情報誌の出版社で、編集者とシステム担当を兼務していました。現場では、月額200万円もの写真現像代、1冊あたり2,000万円もの印刷コストが重くのしかかり、会社は利益が出ない状態に。さらにバブルの崩壊で市場が縮小し、まさに企業の存続が危ぶまれていました。
「社員の負荷とコストを劇的に削減し、もっと楽に、もっと良い情報を読者に届けたい」
その一心で、私はプログラミングを独学で学び、当時まだ珍しかったデジタルカメラを使った紙面制作システムを、たった一人で開発したのです。
もし、潤沢な資金を持つ大企業のように、大手ベンダーに開発を依頼していたらどうなっていたでしょう。おそらく数千万円の見積もりが出て、一度発注すれば、その後のメンテナンスも機能追加も、全てそのベンダーに高額な費用を払い続ける「ベンダーロックイン」の状態に陥っていたはずです。中小企業にとって、それは命取りです。
自力で開発する道を選んだからこそ、私たちは市場の変化に合わせて、自由な改良を、自分たちの判断で、即座に続けることができました。結果、当時業界最大手だったライバル誌よりも2年も早く、しかも世界で初めて、460ページにもおよぶ全ページをデジタル画像で制作した情報誌を成功させました。制作工程を2日も短縮し、コスト削減によって県単位でのきめ細かな情報誌発行も可能になりました。赤字だった会社を、ほんの1年で優良企業へと変貌させたのです。
DXの本質は「内製化」にある
この経験から得た私の確信。それは、**「技術は、現場を知り、それをどう適用すべきか分かる社員が使ってこそ、本当に活かされる」**ということです。
私たちがWordPressをお客様に強くお勧めするのも、まさにこの理由からです。もし旧来の制作会社のように、「1ページ追加5,000円」「記事作成1万円」といった見積もりを取るスタイルでは、予算の限られる中小企業様が継続的に情報発信することは不可能です。そうではなく、**社員が自ら、思いついた時にブログを書き、自分たちの目で見た一次情報を発信する。**これこそが、人の心を動かす最も効果的な手法であり、DXの本質です。
今、生成AIの登場によって、スキルの壁は劇的に下がっています。これからは、全ての社員がITを使いこなし、現場の課題を自ら解決する。そんな「本来あるべき姿」が実現可能な時代になりました。
私たちは、特定の企業の製品に縛られる「ベンダーロックイン」からお客様を解放し、自社の未来を自社の手に取り戻すための技術と知識で、お客様と「伴走」してまいります。





